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見た目のアンチエイジング研究会

2026.09.10

先週末、「見た目のアンチエイジング研究会」に参加してきました。

美容内科学会の顧問・理事の先生方と。

 

この研究会は、多くの美容医療の学会や研究会とは少し毛色が違っていて、

美容治療一辺倒の内容ではなく、見た目の若々しさを医学的・学術的観点から探求する会です。

基礎研究や新規技術、新しい視点からの美へのアプローチなど多角的な議論が交わされ、抗加齢医学会や美容内科学会に通じる面白さがあります。

 

今回の演題も、健康寿命、再生医療、未病、エピゲノム×AI、エピジェネティッククロック、神経美学、皮膚マイクロバイオーム、毛髪再生医療、さらにはネイルケアまで。

なかでもエピゲノムとマイクロバイオームの話が目当てだったのですが、それ以外の演題もかなり興味深くて、知的好奇心が刺激されまくりました。

 

印象に残ったのが、美容医療は、健康資産の増幅に寄与するという話のなかで、さらっと語られた

「PPK:ピンピンコロリのためにはアンチエイジングするしかないんです。」という言葉。

 

「アンチエイジング」とは、決して見た目の若さばかりを追いかけることを指しません。

暦年齢は誰にでも同じように積み重なっていきますが、体の老化の進み方(生物学的年齢=エピゲノム年齢)は人によって違います。

さらに近年は、エピジェネティック・クロックなどによって生物学的年齢を捉えようとする研究が進み、

生活習慣の改善や医療的な介入によって、生物学的年齢を“巻き戻せる”可能性も示されるようになってきました。

もちろん、まだ研究途上の分野ではあります。

それでも、「老化は年齢とともに一方向に進むだけのもの」という従来のイメージから、

老化のスピードや状態には、ある程度介入できるかもしれないという考え方に変わりつつあることに、とてもワクワクします。

 

ちなみに皮膚に関して言うと

・光老化している皮膚としていない皮膚ではエピゲノム(DNDのメチル化)が違うこと

・シミがあるところとないところのエピゲノムも違うこと

が明らかにされています。

そしてこの暦年齢と生物学的年齢の差は、はやくも20代から生じているのだそうです。

 

病気になってから治療するのではなく、病気になる前から、老化そのものに影響する生活習慣や身体の状態を整えていく。

食事、栄養、運動、睡眠、ストレス、腸内環境、筋肉、そして必要に応じた医療的介入。

それらを通して、できるだけ健康な状態を長く保つことができれば、アンチエイジングは単に「若く見せるためのもの」ではなく、

将来の病気を遠ざけ、健康寿命を延ばすための予防医学にもつながっていきます。

「アンチエイジングは究極の一次予防」なのです。

 

美容医療と栄養療法の関係も然り。

外側から肌を整えることと、内側から身体を整えること。

どちらか一方ではなく、両方を見る。全体を見る。

そして、目の前の「見た目」だけではなく、5年後、10年後にその人がどう年齢を重ねているかまで考える。

そんな美容医療でありたいと思っています。

 

また、今回もう一つ面白かったのが「筋肉」への視点。

これまでのたるみ治療では、皮膚や皮下脂肪へのアプローチが中心でした。

でも特に下顔面や首では、それだけでは十分ではない。

筋肉を単にボトックスなどで緩めるだけではなく、必要な筋肉はきちんと育てる。

挙上する筋肉を育てることで、いわば「天然のスレッド」のような働きを引き出す、という考え方も興味深いものでした。

 

美容医療は、何かを「足す」「減らす」「焼く」だけではなく、自分自身の細胞や組織や機能を、どう健やかに保つか。

そんな方向へ少しずつ進んでいるように感じます。

「若く見せる」ことだけをゴールにしない美容医療。

肌だけではなく、栄養、筋肉、腸内環境、遺伝子発現、そして心まで。

見た目の美しさと、身体の健康は、実は別々のものではない。

それが、今回の研究会に一貫したテーマでした。

 

アンチエイジングという言葉が、単なる「若返り」ではなく、

「その人らしく、健やかに、美しく年齢を重ねながら、未来の健康を守っていく医学」

としてこれから広まっていくといいなと思います。

TAKEDA BEAUTY CLINIC DOCTOR

医療法人TSC タケダスポーツ・ビューティークリニック 皮膚科・美容皮膚科 院長

皮膚科専門医 武田りわ

「美肌は人を幸せにする」を理念に、西洋医学を基礎とする美容医療に栄養医学を取り入れ、体の外側と内側からのケアを提案している。肌の老化を治すだけではなく、老けにくい健康な肌作りが得意。皮膚科専門医、オーソモレキュラー・ニュートリションドクター(OND)認定医の資格保有。

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