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祝・ノーベル賞!「制御性T細胞」が教えてくれる、免疫のブレーキと腸のつながり

2025.10.14

2025年のノーベル生理学・医学賞は、「制御性T細胞(Tレグ:Regulatory T cell)の発見とその免疫寛容メカニズムを解明された大阪大学・坂口志文先生ら3名の研究者に授与されました。

快挙ですね。

おめでとうございます!

 

ここでは少しだけ、分子栄養学の視点からTレグを語ってみたいと思います。

ちなみに私が医学生だった頃は、「サプレッサーT細胞」という名前で習いました。

(サプレッサーT細胞とTレグは別物です)

当時は、免疫の複雑な仕組みが理解できなくて苦労しました・・・


■ 免疫には「アクセル」と「ブレーキ」の両輪がある

私たちの免疫は、体を守るためにウイルスや細菌と戦う精密な防衛システムです。

しかし、その戦いが終わったあとに「もう攻撃をやめなさい」とブレーキをかける仕組みがないと、自分自身の細胞まで攻撃してしまいます。

このブレーキ役を担っているのが、坂口先生らが発見された 制御性T細胞(Tレグ) です。

免疫が過剰に働きすぎて、自分自身の細胞や臓器まで攻撃したり、無害なモノまで攻撃してしまうのが「自己免疫疾患」や「アレルギー」。
逆に、免疫が弱まりすぎると、感染症やがんを抑えこむことができなくなります。


■ 腸と栄養が支える「免疫のブレーキ」

実はこのTレグ、私たちの腸内環境と深く関わっています。

腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を発酵させると、「短鎖脂肪酸(とくに酪酸)」という代謝物がつくられます。
この酪酸がTレグを刺激し、免疫の過剰反応を抑える働きを助けることが報告されています。

つまり、
食物繊維をしっかり摂る → 腸内細菌が酪酸をつくる → 免疫のブレーキ細胞(Tレグ)が働く。
この流れが、炎症やアレルギーを落ち着かせる大切なメカニズム。

また、

  • ビタミンD:Tレグの分化・活性を助ける

  • ビタミンA(レチノール):腸粘膜の免疫バランスを整える

  • 亜鉛:免疫細胞全体の調整をサポートする

といった栄養素も、Tレグの働きと関連することがわかっています。

つまり、腸内細菌と栄養素は「Tレグを介して」免疫の質を左右しているのです。

皮膚トラブル、慢性疲労、アレルギー、自己免疫疾患――その多くの根底には、“免疫の暴走=ブレーキがかからない状態” が見え隠れしています。

腸と栄養を整えることは、Tレグという“免疫のブレーキ”をサポートすること。

つまり、炎症を鎮め、美肌や健康の土台を作ることに直結しているのです。


■ 食事と生活でできる免疫バランスケア

Tレグの機能を支えるために、日常でできることはたくさんあります。
難しいことではありません。

小さな積み重ねが、免疫の安定につながります。

・食物繊維・オリゴ糖を意識的に

腸内細菌が酪酸をつくる材料になります。
野菜・海藻・豆類・きのこ類・バナナなどを毎食に。

・発酵食品やプロバイオティクス

善玉菌を増やし、腸内での短鎖脂肪酸生成をサポート。
ヨーグルト、味噌、納豆、ぬか漬けなど、昔ながらの食が◎。

・ビタミンDをしっかり

日光を浴びる、青魚や卵をとるなどで自然な補給を。
不足するとTレグ活性が低下し、花粉症悪化の一因にも。

・オメガ3・ケルセチン

炎症をやわらげる補助的な成分として期待されています。
青魚、えごま油、玉ねぎ、ブロッコリーなどから摂取を。

・ストレス・睡眠不足を見直す

自律神経の安定が免疫の土台になります

こうした生活習慣の積み重ねが、腸内環境を整え、ひいては免疫全体の調和を保つサポートになります。


「免疫=強ければいい」ではない

免疫というと「強くする」ことが良いと思われがちですが、本当に大切なのはバランスだと坂口先生はおっしゃっています。

・「免疫は強ければ良いというものでも、弱ければ良いというものでもない。大事なのはバランスなんです」

・「免疫が自分を攻撃することもある。守りと暴走、その絶妙なバランスの上に健康は成り立っているんです」

    ー8bitNews「坂田薫のSIENCE NEWS」よりー

Tレグが教えてくれるのは、「過剰な攻撃をやめ、体を守るために“休む力”も必要」ということ。

心も体も、戦うばかりでは疲れてしまいます。

Tレグのように、ときにはブレーキを踏むことが、真の「免疫の安定」につながるのかもしれません。


■ まとめ

  • 制御性T細胞(Tレグ)は、免疫のブレーキ役

  • 腸内細菌がつくる「酪酸」がTレグを活性化

  • ビタミンD、A、亜鉛などの栄養も免疫系をサポート

  • バランスの良い食事と腸ケアが、免疫の安定に役立つ

美容も健康も、すべては同じ身体の上に成り立っています。
美しい肌を育てることは、健やかな免疫を育てること。
その根っこには、食と腸と栄養のバランスがあります。

私たちが日々の生活の中で「腸を整える」「栄養を見直す」ことの意味と価値を、ぜひ今一度考えてみて欲しいです。

今日、あなたは何を食べますか?


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(関連ブログ→次世代の食物繊維グアーガム

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医療法人TSC タケダスポーツ・ビューティークリニック 皮膚科・美容皮膚科 院長

皮膚科専門医 武田りわ

「美肌は人を幸せにする」を理念に、西洋医学を基礎とする美容医療に栄養医学を取り入れ、体の外側と内側からのケアを提案している。肌の老化を治すだけではなく、老けにくい健康な肌作りが得意。皮膚科専門医、オーソモレキュラー・ニュートリションドクター(OND)認定医の資格保有。

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